健診や人間ドックの検査で使用される医療機器

人間ドックや健康診断で高い頻度で行われる検査の一つに心電図検査があり、なかでも不整脈や狭心症などの循環器疾患が疑われる場合の診断に欠かせない存在となっています。

健康な人の心臓は、約10万回/日も一定のリズムで収縮・拡張を繰り返すことにより、全身に血液を送り出すポンプとして役割を果たすことができます。規則正しい収縮・拡張を行うためには、右心房上部にある洞結節からの電気信号が必要となり、この電気信号が細胞膜を変化させて、電流が発生します。このわずかな電流変化を、体に取り付けた複数の電極から集めて、経時的な連続線として記録するのが心電図です。

心電図で発見できるのは、脈が飛ぶ「不整脈」、階段の昇降など心臓に負担がかかると胸痛が現れ、動脈硬化を引き起こす「狭心症」、高齢者に多い不整脈の一種で、AEDがないと死に至る確立の高い危険な「心房細動」などが挙げれられます。

次は胃カメラ(内視鏡)です。一般的に、胸やけや胃の不快感、あるいは通常の健康診断で胃を検査する場合には、まずバリウムを飲んで撮影するX線検査を行い、異常が認められた場合には内視鏡を使用した精密検査が行われます。医師が直接胃の中を観察、撮影できる消化管内視鏡の登場により、胃がんや大腸がんの早期発見が可能となりました。

以前の消化管内視鏡は、光ファイバーを用いた軟性内視鏡でしたが、現在の主流は小型のテレビカメラ(CCD)を先端に取り付けた電子内視鏡となっています。また内視鏡を口から挿入する際の不快感(咽頭反射)がある方には、負担が少ない鼻から挿入して食道・胃を観察できる経鼻内視鏡が注目されています。

内視鏡は、先端に記録装置を内蔵した高感度カメラを搭載し、本体には医師が手元で自由に撮影・操作が行えるコントロール部分があります。また内視鏡を通して染色液を噴出することにより、組織を染色したり、NBIと呼ばれる青と緑の特殊な波長光をあって、微細な部分を可視性の良い画像としてモニタ表示することもできます。

さらに先端にワイヤー等の特殊器具を付けることで、組織を切り取って(生検)顕微鏡検査を行ったり、小さなポリープを切除したり、高周波電流で焼き切ったりするなど、入院の必要がないちょっとした手術治療も行うことができます。

続いてはマンモグラフィです。女性に最も多いがんで、国内で年間1万人の方が亡くなっている(国立がんセンターの調査より)乳がんをX線で調べるための検査器機です。マンモグラフィを利用した健診が乳がんの早期発見に最も有用であるとされ、厚生労働省は40歳過ぎの女性に対して年1回のマンモグラフィ受診を推奨していますが、欧米に比べると受診率は非常に低く20%台で低迷しています。

マンモグラフィの撮影は撮影部分を広げ、放射線量を少なくて済むように乳房を引っ張って板で圧迫して2方向から撮影を行います。診断には画像の正しい読み取りが必要なので、医師の読影スキルが問われます。乳がん、乳腺症などが疑われた場合には、精密検査として乳性内視鏡や乳腺超音波などが使用されます。